採算の取れるリノベーションとは…

先日、リノベーションEXPO岡山に行ってきました。 色々と面白い発想や参考になるものがたくさんあり勉強になりました。
そういったイベントを拝見したり、実際に弊社でも賃貸リノベを手掛けているのでその現場だったりでいつも気になることがあります。 今回はその話を少し…
リノベーションの意味は今更おいといて…
採算という面で見るとどうなのでしょうか?
タキタ産業では賃貸のリノベーションを手掛けていますが、家賃に対しての修繕(リノベーション費用)というのがネックになってきます。
7万円の家賃の部屋で300万円のリフォームだと単純に43ヶ月回収にかかります。 ある程度の利回りでまわっていないとその間は他の部屋で収益を賄うので苦しくなってきます。
もちろん300万円も掛けるリノベは多くはありませんが、思い切った方法を取ると結構回収に時間はかかります。
よくネットでリノベの実績を見ると7万円の部屋をリノベをすることで8.5万円にとか9万円にとか出てきますが、そんなに単純に家賃は上がりません。
それは売買物件にも同じことがいえると思います。
マンションリノベーションの場合は1000万円で買った物件に600万円かけて見違えるようなリノベを行なって1800万円で売りに出したとしても近隣で1980万円の新築があれば多くの方は新築を購入するという事になります。 マンションの場合その部屋がいくらきれいでも共用部や配管などは古いままという事になり、それなら少し高くても新築!!! です。
リノベーションの多くが自分で古い物件購入してリノベするかスケルトン状態の部屋を購入してそこから予算に合わせたリノベをするというのが大半でしょう。
様々なメディアを通してリノベーションについての情報は入ってきますが、自分が住む家以外のリノベーションの採算に言及しているものはまだ少ないと考えます。

賃貸物件についてのリノベーションの採算を考えるうえでインターネットや雑誌などで読む機会も多いと思いますが、その多くはあてになりません。
これは書いてあることが間違いだというわけではなく、地域による家賃格差の違いによるものです。
例えば東京近郊の人気エリア「吉祥寺」や「荻窪」で1Kの検索をすると築29年のトイレと浴室が一緒で洗濯機は外という物件が6万円で掲載されていました。 これが岡山市内なら家賃3万円でも借り手を探すにはとても苦労します。 ではこの部屋思い切ってリノベーションすることにして浴室をセパレートに変更してその他もろもろで140万円かかったとして吉祥寺なら2年で回収できるだけの家賃が取れますし、ましてセパレートになったことで家賃が7万円にあがるかもしれません。 ところが岡山市内で同じリノベーションをしても改築にかかる費用は吉祥寺と同じだけかかります。 なのに家賃が3万円~3.5万円としても4年間、回収に時間がかかるわけです。
元々の家賃相場が違うわけですからこの結果は当たり前ですよね。
では、地方ではリノベーションをしないで家賃を下げたほうがよいのでしょうか??  これはオーナーさん次第です。
新たに現状の建物に投資するよりは家賃が下がっても原状回復のみで入居する方を探すという考え。
家賃は出来るだけ維持または多少なりともアップをしていきたいのでリフォームやリノベーションをするという考え。
この2つになると思います。
どちらが正解か??答えはありませんが、私個人の考えではなるべく手を入れずに家賃を下げる建物はいつか入居率が下がり入らなくなる時が来ると思います。
反対に手を入れる建物はある程度の出費はしますが、入居率の維持と家賃の下落を抑える可能性は高くなります。
あるオーナーさんでこんな例があります。
1985年築の1K、新築から外観塗装をせず修理も最低限で維持してきた建物。近隣に比べて設備的にも見劣りするので少しずつ家賃も下がってきてせっかく南向きの陽当たりの良い8帖なのに稼働率は57%になってしまいました。 やっと重い腰を上げたオーナーさん外観塗装などかなりの金額をかけて修繕していますが、新しい設備等にまでは追い付かず入居率の向上にはまだつながらない・・・
1977年築の1K、6帖の和室だった物件を洋室に変更し様々な設備を都度投資していく、そして41年間で3回の外観塗装や玄関ドアの全面取替などを行い入居率95%以上を維持する物件のまま
この2つの建物は極端な例かもしれませんが、オーナーさんの考え一つでこれだけ変わってきます。
賃貸経営は事業です。きちんとした計画にのっとって行わなければどこかで無理が出てきます。 利回りがよいから、相続税対策にというだけでは無理な時代になっています。
現在リノベーションという言葉は誰でも知っているくらいメジャーになりました。
しかし、多くの賃貸が一気に建てられたバブル期にはそんな言葉ほとんど耳にしたことはありません。
「家賃は下がることは無い」「毎年家賃は上がる」なんて説明を受けて建てた方も多くいらっしゃると思います。
実は現在リノベーションを検討する建物の多くがその時代に建てられたもので土地から高く買って建てたという方が多く大きな投資をしてリノベーションするほどの体力が無いというのも現状です。
そんな中まだ大都市圏内では家賃がある程度の金額を維持できているのでリノベーション出来るけれど家賃が下がってしまった地方では…
それを考えるのが採算の取れるリノベーションです。
決して大幅に大改修だけがリノベーションだとは思っていません。
簡単に言えばその建物が建築された当時よりも更なる魅力のある物件に仕上げればよいと考えます。
基本的には家賃の1年分 家賃3万円の建物なら36万円以内に抑えるリノベを私は提案しています。 もちろんそこまでかけずに収益が上がればそれに越したことはありませんが、オーナーさんの資金の体力内で行うリノベを提案して資産価値を維持する又は上げていくことが大切です。
たしかに維持管理に手をあまり入れてこなかった物件や3点ユニットと言われる物件などでは入居率を上げるためにかける費用は大きくなるかもしれません。
ひょっとすると売却したり建て替える方がよい物件もあります。 それをどこで見分けるか? そして、せっかくの賃貸物件をお荷物ではなく価値ある資産に変えるのが採算の取れるリノベーションだと考えます。
今回はあえて手法等は書いていません。 何故??? 秘密??と思われますが決して秘密でも何でもなく方法は建物が5棟あれば5棟分10棟あれば10棟分やり方が違うから・・・
そして、最良と思われる方法でも近隣に同じやり方の物件があれば別のアプローチをすることもあるので手法は物件によって違うからです。
ご自身で持たれている賃貸物件(収益物件)もう一度きちんと見直して長く続く資産として考えてみましょう。

株式会社タキタ産業

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